|
Post by 木の子 on Aug 4, 2021 12:35:42 GMT 9
キノコとタンポポ 1
キノコはタンポポが大好きだった。 タンポポの野原を見たたびに「なんてきれいなお花でしょう」と思っていた。その野原にはタンポポが大勢住んでいた。黄金で楽しそうなところだった。 キノコはあのきれいな存在と知り合いになりたかったけど、いつも恥ずかしすぎた。 ある日のこと、他の野原で、キノコは一輪のタンポポを見かけた。そのタンポポは静かに泣いていた。 心優しいキノコは恥ずかしさを克服して、タンポポに話しかけた。 「大丈夫キノ?」 「ごめん。大丈夫だけど、ちょっと一人ぼっちだったポポ」 「もったいないキノ。そんなに美しいお花キノ」 「あたしのこと?美しいポポ?そんなこと・・・」 あの夏、キノコとタンポポは仲良くなり、毎日毎日いっぱい遊んでいた。日光に照らされて煌めく野原を走ったり、ハッピーハッピーな歌を歌ったり、うんと笑ったりしていた。 でもね… 長い長い夏の日はだんだん短くなってきた。 木の子は続きを書くつもりですから、この物語は他の人の書くことに「開けている」ではありません。
ご協力ありがとうございました。
|
|
|
Post by 木の子 on Aug 4, 2021 13:24:03 GMT 9
キノコとタンポポ 2
長い長い夏の日はだんだん短くなってきた。 ある日、タンポポの金色の髪の花びらが少しづつ白くなってきた。きれいでフワフワな所が現れはじめたが、二人は遊び続けた。 数日後、タンポポの頭は真っ白くなった。 いつものように、キノコは朝早く野原に行った。 タンポポを見て「うわ!前より美しいキノ!」と叫んだ。 タンポポはキノコのもとに走ろうとしたけど、思わず地面から上に、上に離れてしまった。キノコはタンポポの葉っぱの手を掴んだ。二人は手を繋いで空を飛んだ。 「ワイワイキノ!」 「楽しいポポ」 と二人は叫んだ。 二人の周りには白い雲のようにフワフワの綿毛がいっぱい踊っていた。 「きれいキノ!きれいなのねぇ!」とキノコは言った。 でも、タンポポは何も答えなかった。 キノコはゆっくり地面に落ちた。繋いでいた手をみると、残されていたのはタンポポの葉っぱだけだった。 「タンポポちゃん!タンポポちゃんキノ!」 でも、タンポポは何も答えなかった。 キノコはシクシク泣き出した。 「タンポポちゃん。タンポポちゃん。どこに行っちゃったキノ?」 キノコは空を仰いだ。明るい日差しの中で白くてフワフワで閃いている綿毛が踊っていた。 かすかな声は「忘れないでポポ・・・」と囁いた。 キノコは涙を流しながら言った。「今キノコはどうすればいい?」 「待って。待っててね。忘れないでポポ」 「何を待てばよいの?」とキノコは必死に聞いた。 でも何回も聞いても二度と答えは来なかった 続く・・・
|
|
|
Post by 木の子 on Aug 4, 2021 13:37:09 GMT 9
キノコとタンポポ 3
あの冬は例年になく寒かった。キノコは木の家にこもった。
次の春,キノコは散歩をした。タンポポでいっぱいの野原を見かけた。あの夏の思い出が自然によみがえり、いつもより胸が苦しくなってきた。
歩いていると、一輪のタンポポはキノコに声をかけた。「おはようポポ」
「おはようキノ」とキノコは返した。
別の一輪も駆け寄ってきて、キノコにこう言った。「お久しぶりポポ」
キノコは戸惑っていて何も言えなかった。
「タンポポのことを忘れちゃったポポ?」とまた、別のタンポポは問いかけてきた。
「全く忘られないキノ。だけどここにいるタンポポのみんなは、どうして私のことを知っているの?」
「戻ってきたよ。また会えたね。」と三番目のタンポポは言った。 「どれがあの時のタンポポちゃん?・・・」と、戸惑っているキノコ。
「みんなポポ」とタンポポ全員が笑顔で叫んだ。
「ほ、本当キノ?」
「本当に本当ポポ」
キノコとタンポポたちは再び、一緒に黄金の陽光を浴びて野原で踊りだした。
おしまい。
|
|